こんにちは。
2015年12月からストレスチェックが50人以上の事業所に義務化されることになりました。
義務化を前に、今月から弊社が関わった「放っておくと、ちょっと怖いメンタルヘルス事例特集」をブログにてご紹介いたします。なお、文中の会社名は仮名です。
月・水・金の週3回シリーズでお届けします。

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会社を退職した理由として、ホンネとしてたびたび出てくるのが人間関係です。単に性格ややり方が合わないというだけでなく、わざと嫌がらせ(ハラスメント)をされたという例もめずらしくありません。

「たくさんの人が集まっている以上、人間関係に問題が発生するのはしかたない」と思っていませんか?人間関係の悪化は、会社の業績に直接影響することも多いのです。放置していると、ちょっと業績が下がっただけで大打撃!という事態になることもあります。

今週は、そんな事例について見ていきましょう。

山田工業は、機械部品の製造販売をしている中小企業。役員は社長と専務が1名ずつ、従業員数50名の会社です。

従業員のうち、40名は工場で働いています。営業マンは6名。あとの4名は総務で、この中で経理の仕事もしています。

平均的な製造業なのですが、実は総務の4名の中に問題がありました。総務部長は勤続年数が30年あまり、残りの3名はわずか数か月。しかも、うち1名は今月末で退職することが決まっています。ちなみに、この4名は全員が女性です。

お察しのとおり、勤続年数が長い総務部長は、いわゆるお局様。すべてが自分の思いどおりにいかないと気が済まず、プライベートな部分まで部下を支配して当然と考えています。

新入社員には、まず、教育と称して一挙手一投足にいたるまで会社のやり方をたたき込みます。少しでもよそ見をしたり、ため息をついたりすると、「そんな態度だから仕事を覚えられない」と延々と説教。しかも、ことあるごとに蒸し返して同じ内容の注意をするのです。

総務の社員は、行動もすべてお局様に監視されます。トイレ休憩さえ、2分以上になると「遅い!」昼休みは会議室でお局様を上座にして食べることを強要され、延々と愚痴を聞かされます。向かいにあるコンビニに行くのでさえ、お局様の許可が必要で、機嫌取りのためのお菓子を自費で買って来なければなりません。

「会社の仕事は、毎月の給料がもらえるだけありがたいと思いなさい!」と、残業代の支給は一切なし。幼稚園から子どもが熱を出したと連絡があっても、帰らせてもらえません。お局様自身は子育て中はけっこう遅刻早退が多かったとのうわさなのですが、部下には「新米のくせに、生意気な!」風邪ひきで休むと電話した部下には、ものすごい剣幕で「這ってでも出てきなさい!」その結果、社内で風邪が流行ると、お局様から「あんたのせいで風邪をひいた」と文句を言われる始末です。

お局様がひどい嫌がらせをするため、総務部は社員がすぐに辞めてしまいます。お局様が「3名は部下が必要」と主張するので、次の人を補充するのですが、その人もすぐに辞めるのです。1年と続いた部下はおらず、お局様は「近頃の若い人は根性がない」とけなしています。

小さい会社ですから、お局様の行状はすべての社員が知っています。もちろん、社長も専務も知っていますが、お局様は給与計算、経理など総務のすべてをにぎっているため、これらの業務がどうなっているのか誰にもわかりません。お局様を辞めさせると、最悪の場合、給与や仕入れ先への支払が滞ってしまうおそれもあるのです。

おまけに、お局様は社長と専務の弱みを握っています。二人とも不倫の経験があるのですが、ことあるごとに、それを奥さんにばらすと言うのです。

「お局様に逆らったら、何をされるかわからない…」社長や専務でさえこわがってしまい、お局様に何も注意できない状態が20年以上続いていました。そしてあるとき、本当に大変なことになってしまったのです。

~続く~


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この話の続き、次回は9月9日(水)更新予定です。お楽しみに!