笑顔でランニングしている男性

健康のために運動を勧められたことはありませんか?
運動は健康だけでなくメンタルを安定させることの助けにもなります。しかし、心身の健康に良いと分かっていながら、なかなか続けることができなかったという経験をした方も多いかと思います。漠然と運動は良いものだと捉えていて、どのように私たちのメンタルに影響するのかが分からず続かないのではないでしょうか。

私も運動しないといけないと思いつつ、続けることができなかった経験があります。しかし、去年からランニングを始めハーフマラソンを完走しました。運動により心が安定する感覚を知って、積極的に運動を取り入れるモチベーションにしてほしいと思います。

運動のメリット

運動することによる様々なメリットはよく耳にすると思います。
身体のコンディションが良い人の方が、メンタルも安定しているとも言われています。
血糖値や血圧の改善、生活習慣病予防など身体へのメリットだけでなくストレス解消や気分転換などメンタルヘルスの面でもメリットがあります。

運動によるメンタルへの効果

  • うつのリスク軽減
  • ストレスや不安の緩和
  • 自己肯定感の向上

運動によるメンタル面での効果として上記のような効果が一般的によく言われています。
私も運動後にポジティブな気持ちになったり、スッキリした気持ちになったりした経験があります。以前、B-Brainのインストラクターの資格を取った際に読んだ「ストレス脳 (新潮新書 2022年)」という本にも、運動がドーパミンやセロトニンなどの「幸せホルモン」と呼ばれるホルモンの分泌にも影響を与えメンタル面に良く働くとありました。

運動はドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンのレベルを上げ (後略)

引用元:アンデシュ・ハンセン著『ストレス脳』(新潮新書、2022年)

ドーパミンは、やる気や幸福感、セロトニンは、精神の安定や平常心などに作用する物質です。また、ノルアドレナリンはストレスを感じた時にストレスに立ち向かう体勢を整える働きがあります。
長期的に運動を続けることでより効果を感じることができ、心身ともに健康でいられると思います。

運動量の目安

では、どの程度運動をするとメンタル面に効果があると言われているのでしょうか?
週に1時間速足で散歩をするだけでもある程度の効果はあると言われています。もちろん、週に1時間以上体を動かした方が効果は上がります。
さらに、ランニングのような心拍数の上がる運動の方が効率的に効果を得られるとも言われています。
最も効率的に効果を得るには、週に2時間程度心拍数の上がる運動をすることだそうです。

(前略) 週に2〜6時間心拍数の上がる運動をするのが最も効率的だという。(中略) ほとんどの実験結果が6時間よりも2時間に近い。一方、週に6時間以上運動しても、それ以上の防御効果はないようだ。

引用元:アンデシュ・ハンセン著『ストレス脳』(新潮新書、2022年)

過去に運動が続かなかった経験を振り返ると、運動を始めると決めた日から張り切り過ぎてしまったり、短期間で効果を出そうと気持ちが焦ってしまったりしていたのだと思います。そして、いきなり強度の強い運動をしてしまっていました。普段運動することに慣れていない状態から、強い負荷のかかる運動するとしんどくて辛いという記憶だけが残ってしまうのかも知れません。まずは続けることに集中しましょう。

運動による効果は1日ですぐに感じられるものではありません。1ヶ月単位で徐々に感じることができるでしょう。
最初は散歩から次にランニングへと徐々に運動の強度を上げるようにしましょう。

運動が私に与えたもの

冒頭でお話ししたように、実際に私も去年から運動を習慣化しています。そして12月にハーフマラソン約21km (第21回和歌山ジャズマラソン) を完走しました。メンタル面でも大きな助けになりましたので、体験談をお話ししたいと思います。

弊社には福利厚生の一環で部活動の制度があります。これは、リモート勤務の社員もいることからコミュニケーションを取りやすくするためのものです。孤独も感じにくくなるので良い制度だと思っています。この制度も活用してマラソン部を作り、部員3名で活動しています。

仲間との接点

去年の初め、私はある出来事をきっかけに自信を失っていました。視界にモヤがかかったような頭の冴えない状態が長く続きました。記憶も曖昧で、今思うとうつ症状を患っていたのかもしれません。そんな精神状態の中、何とか抜け出そうともがいていたことは覚えています。
8月に私が予てから部活制度を活用したいと思っていることや、運動が続かないことを同世代のスタッフに話したところ「やりましょう!」と前向きな言葉をかけてもらいマラソン部が作られました。そして、その日のうちに12月のマラソン大会へ一緒に出場することが決まりました。アプリを使って練習状況などをシェアしてモチベーションにしています。

自信と健康

何年も習慣として運動をしていなかったので、最初の1ヶ月間は片道30分のウォーキングから運動をスタートしました。
その後、走る時間だけを決め距離は気にせず走るようにしました。週に3日30分間走ることを目標に走りました。普段30分走り続けることなどありませんから、走り続けることに慣らしていくためです。この時、30分で5km走ることができ、以外と走れる自分に驚きました。子供の頃は辛くてたまらなかったランニングをしんどいと思わなかったのです。大人になって力加減を覚えたのだと自身の成長を嬉しく思いました。また、走る能力があったことにも喜びがありました。睡眠の質も改善されていき、霞んでいた視界が晴れていった感覚を覚えています。

次第に距離も意識することができるようになり、ペースを早めるなど運動の強度を上げていきました。5km、10kmとランニングの距離を伸ばしました。この段階で、走る能力が上がっていくことや続けられていることに自信を持ち始めました。心の炎症が治っていくように気持ちが落ち着くのを感じました。私のリフレッシュ方法の選択肢に走るが追加された瞬間でした。

当たり前のように、ランニングをするようになった頃には生活のリズムも整い、運動直後だけでなく、気持ちが落ち着いている時間がだんだんと伸びていったことを実感しました。

経験と感謝

マラソン当日、練習していたとはいえ約21kmを2時間半走り続けるのは大変でした。
当日は雪が降るほど寒く、初めてのハーフマラソンは平坦な道ばかりではありませんでした。上り坂や下り坂、風の強い区間もありました。膝も痛くなったりと困難はありました。しかし、不思議と足を止めたいとは思いませんでした。決して早いペースで走れたわけではありませんが、習慣化に成功していたためゆっくりでも走り続けるということができたのだと思います。また、沿道で応援してくれる地域の人に力をもらい走り切ることができました。
走り終えて誇らしい気持ちと達成感、自信を得ることができました。応援してくれた人との社会的接点も感じることもできました。メンタル面ではダブルでメリットがあったと実感しています。

続けることが何より大切

運動することによって私たちのメンタルに及ぼす影響は、複合的に作用するものだと分かりました。
実践して、運動自体によるホルモン分泌など身体的な反応による効果や、良好な身体のコンディションや経験から得られる自信や安心感などのポジティブな感情、生活習慣や睡眠の質の改善など様々な作用が連鎖してメンタルに働きかけたことを実感しました。そして、そのどれもが続けることによって得られるものだということも分かりました。
おすすめの運動や量、強度など様々な情報が調べると出てきますが、まずは自分のペースで続けるということに集中してほしいと思います。

私の場合はランニングを選びましたが、初めに距離でなく、時間で目標を区切ったことが続けることができた要因のひとつだと思います。
生活の中に新たな習慣を加えることは難しいです。まとまった時間を作ることが困難で習慣になるほど続かないということがよくあります。私は30分間走ることを目標にしていましたが、できない日もありました。しかし、5分、10分でも走ることは諦めないように心がけました。時間よりも走るという行為を優先したことが習慣化につながったと思います。

自分自身の続けるための工夫を探す参考になると嬉しいです。心身ともに健康を目指しましょう!